今年は少陰司天(しょういんしてん)火熱が盛んになる年
- 1月16日
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少陰司天(しょういんしてん)とは、十二支の子(ね)と午(うま)の年に巡ってくる気象の配置を指し、この時期は主に「熱気」が支配的になります。
「少陰司天(しょういんしてん)」は、中国の伝統医学である東洋医学の「運気論(うんきろん)」における重要な概念の一つです。これは、特定の年に天候や人々の健康に影響を与える「気」の性質を説明するものです。
古典に基づき、少陰司天の年に気をつけるべき気候の変化や身体への影響、養生法について詳しく解説します。

1. 気候の特徴と身体への影響
少陰司天の年は、天からの「熱気」が下に降り、地にある「肺の気(金)」がそれに応じるように上に昇るという力学が働きます。気候は暑くなりやすい、あるいは異常な熱が発生しやすいとされています。これにより、寒さによる災害が減る一方で、熱による健康問題が起こりやすくなると考えられます。
気候の変化: 大暑が流行し、火の気が強まるため、草木がしおれたり、熱によって金属が消耗するような極端な暑さに見舞われることがあります。一方で、地には「燥」と「清(冷え)」の気が至るため、時に冷え込み(淒滄)が強まり、気候が不安定になります。
病態の全体像: 上部(上半身)には熱の病が生じやすく、下部(下半身)には清(冷え)の病が生じやすい傾向にあります。また、中(内臓)では寒熱が争い合う複雑な状態になりやすいのが特徴です。
2. 注意すべき具体的な症状
熱と寒の交わり、および火が金を剋(こく)する(熱が呼吸器を傷つける)ことによる症状が多く現れます。
呼吸器・皮膚の不調: 喘鳴(ぜんめい)、咳、くしゃみ、鼻水、鼻血、鼻詰まり、喉の乾燥や腫れなどの肺系の症状が出やすくなります。また、皮膚の痛みやかゆみ、ひどい場合には火に焼かれたような瘡瘍(かさぶたや腫れ物)が生じることがあります。
循環器・消化器の不調: 心痛(胸の痛み)、腹部膨満、寒厥(冷えによる逆上)が胃に入ることで起こる心痛や腰痛などが挙げられます。
出血症状: 熱の影響で血が溢れ、血便や鼻血、目の充血が生じやすくなります。
3. 季節ごとの注意点
一年を通じた「六気」の区分においても、注意点が異なります。
初之気(初春): 寒さが本格化し、霜が降り、風が至るため、陽気が鬱滞して関節が強張ったり、腰や腿が痛んだりします。
二之気(春~初夏): 陽気が広がりますが、時に冷気が至ります。目がかすむ、赤くなる、排尿トラブルなどが現れやすくなります。
三之気(司天の気が最も強まる時期): 大火(強い熱)が支配し、熱による心痛、寒熱の往来、咳や喘息、目の充血が顕著になります。
終之気(晩秋~冬): 燥の令が働き、余った火が内に閉じ込められて上半身の腫れや内出血、咳を引き起こしやすくなります。
4. 食事と治療の原則(薬食宜)
少陰司天の年の不調を調和させるための原則は以下の通りです。
味の調整: 上部の熱を調えるには「鹹(かん:塩味)」を用いて柔らかくし、下部の冷えを安定させるには「酸(さん:酸味)」で収斂させることが推奨されます。
熱を出す・漏らす: 症状がひどい場合には、「苦(苦味)」を用いて熱を発散させたり、あるいは漏らし(泄)たりすることで調整します。
食事の節度: 歳穀(その年の気を補う穀物)である丹色の穀物や白い穀物を摂取し、アルコールや辛いもの、味の濃いものは熱を強くするので控えめに。邪気を避けて真気を保つことが重要です。
禁忌: 司る気が「熱」であるため、熱いもの(熱食)や厚着(温衣)は避けるべきです。

まとめ
少陰司天の年は「上半身の熱」と「下半身の冷え」のアンバランスに最も注意が必要であり、特に心臓や肺への熱の影響を防ぎながら、塩味や酸味を適切に用いて身体を調えることが養生の鍵となります。



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