乳がん治療後の認知機能の改善に鍼が良いという研究結果が
- 2025年12月31日
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乳がんの治療を終えた後、「以前のように集中できない」「物覚えが悪くなった」と感じることはありませんか?これはがん関連認知障害(CRCD)、通称「ケモブレイン」と呼ばれる症状で、多くのサバイバーが直面する悩みの一つです。
今回は、アメリカのメモリアル・スローン・ケタリングがんセンターなどの研究チームによって発表された、**「鍼(はり)治療が乳がんサバイバーの認知機能を改善する」**という最新の研究結果を分かりやすくご紹介します,。
乳がん治療後の「脳のモヤモヤ」に鍼治療という選択肢
この研究では、ステージ0からIIIの乳がん経験者で、中等度以上の認知障害(記憶力や集中力の低下)と不眠に悩む260名の女性を対象に行われました。
参加者は
「実際の鍼治療を受けるグループ」
「模擬(ニセ)の鍼治療を受けるグループ」
「通常のケアのみを受けるグループ」
の3つに分かれ、週に1回の鍼治療を10週間続けました。
1. 「頭がスッキリした」という実感
治療開始から10週間後、鍼治療を受けたグループは、通常のケアのみのグループと比較して、「認知機能が改善した」という主観的な実感が大幅に向上しました。 この「良くなった」という実感は、治療が終わった後も26週目(約半年後)まで持続したことが確認されています。
2. 客観的なテストでも「記憶力」がアップ
さらに興味深いのは、単なる「実感」だけでなく、記憶力のテスト(HVLT)という客観的な評価でも、実際に針を刺す「実鍼(じっしん)」を受けたグループは、模擬鍼を受けたグループよりも高い改善効果を示したことです。 これは、鍼による具体的な刺激が、脳のパフォーマンスを向上させる可能性を示唆しています。
3. 鍼治療は安全なの?
気になる副作用についても、この研究でしっかり調査されています。
報告された有害事象のほとんどは軽度なものでした。
最も多かったのは、針を刺した場所の**打撲(内出血)**でしたが、発生率は実鍼を受けた人のわずか3.1%(260名中6例)でした。
まとめ
この研究は、鍼治療を受けるという体験そのものが「脳のモヤモヤ」という主観的な悩みを和らげ、さらに実際の針の刺激が「客観的な記憶力」を底上げしてくれることを示しています。
「薬を増やすのは抵抗があるけれど、このモヤモヤをどうにかしたい」と感じている方にとって、鍼治療は安全で効果的なサポートの一つになるかもしれません。
たとえるなら…… 鍼治療を受けることは、パソコンの動作が重くなったときに、「不要なファイルを掃除して操作感を軽くする(主観的な改善)」だけでなく、「メモリを増設して処理能力そのものを高める(客観的な改善)」という、2つのメンテナンスを同時に行うようなものだと言えるでしょう。



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